日本の原風景、早朝の山寺「立石寺」へ参拝 


昔から一度訪れてみたかった通称「山寺」、正式名称:宝珠山立石寺。あの景色を生で見るべく、車で遠路はるばる参拝してきました!

前日の夜に車で出発、事前に調べた山形県にある立石寺の無料駐車場に停めるべく、真っ暗な中、高速道路でまっしぐら、途中少し仮眠をとりながら、明るくなってきた朝5時過ぎに駐車場に到着です。一番乗りと思いきや、先に1台だけ先着ありの2番目に滑り込み、立石寺隣接の一番近い数台だけの駐車場に無事停めることができました。

立石寺は天台宗に属していて、貞観二年(860年)に創建、天台座主第3世慈覚大師円仁により建立されたそうです。「当時、この地を訪れた慈覚大師は土地の主より砂金千両・麻布三千反をもって周囲十里四方を買い上げ寺領とし、堂塔三百余をもってこの地の布教に勤められました。開山の際には本山延暦寺より伝教大師が灯された不滅の法灯を分けられ、また開祖慈覚大師の霊位に捧げるために香を絶やさず、大師が当山に伝えた四年を一区切りとした不断の写経行を護る寺院となりました」と説明があります。現在は約百町歩(33万坪)の境内を持ち、その中に大小30余りの堂塔が残され、三つの不滅(法灯・香・写経行)が今尚護られているそうです。

柔らかな朝日の中、澄み切った気持ちの良い空気を吸いながら、さわやかな気持ちで駐車場からの階段を上がると正面に立石寺の本堂である根本中堂があります。

根本中堂は延文元年(1356年)初代山形城主・斯波兼頼が再建した、入母屋造・五間四面の建物で、ブナ材が全体の6割程用いられブナ材の建築物では日本最古とのこと。朝早すぎてまだお堂は開かれていませんでしたが、堂内では、本尊として慈覚大師作と伝えられる木造薬師如来坐像をお祀りし、脇侍として日光・月光両菩薩と十二支天、その左右に文殊菩薩と毘沙門天を拝することができるそうです。

山門から長い階段を登る前に、松尾芭蕉像がありました。

元禄二年(1689)松尾芭蕉が奥の細道の紀行の際に、あの有名な「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」が詠まれた地です。隣には芭蕉の門人である河合曽良像もあります。

Top Image credit:Daisuke Goto

まだ寺務所が開く前の山門をくぐり、早速階段を登り始めます。仁王門を潜り抜け、性相院、金乗院、中性院、華蔵院を横目に見ながら約1000段の階段を登り詰めると、大仏殿「奥之院」に到着です。

奥之院は通称で、正しくは「如法堂」といいます。慈覚大師が中国で持ち歩いていたとされる釈迦如来と多宝如来の両尊を御本尊とする如法堂は、参道の終点にあるので「奥之院」と呼ばれているそうです。この道場で慈覚大師が初められた石墨草筆・一字三礼の如法写経行が護られています。また如法堂左側の大仏殿には、像高5メートルの金色の阿弥陀如来が安置され、宗派を問わず供養に数多くの人が訪れるそうです。

朝早く人が全くいなかったので、この上なく静かなところに、まだひんやりした空気が張り詰め、何とも言えない厳かな気分に浸れます。

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奥の院から山門側の景色です。山間の奥之院は、まだ山影に隠れています。

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参拝後、奥の院から少し下り、途中から崖に突き出た五大堂に向かう分岐した道の階段を登ります。慈覚大師の尊像が備えられている開山堂と、写経を納める納経堂を通過し、快晴の天気の中、いよいよ念願の絶景が見ることができる五大堂へ到着です。

Top Image credit:Daisuke Goto
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五大堂は開山30年後に建立された五大明王を祀る道場で、お堂が断崖から突き出すように建てられているので、素晴らしい絶景が見られます。写真の通り、何も言うことのない完璧な日本古来の山村風景が目前に広がり、あまりの絶景でただただ見続けてしまいました。歴史を感じながら思いにふけるには贅沢すぎるくらいの絶好な場所です。

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五大堂から奥之院のある山間側を見たところです。写真奥の山肌の部分には、絶壁の途中に建てられた「胎内堂」があります。現在一般人は立ち入り禁止になっていますが、「胎内くぐり」という崖の中の穴を這いつくばって胎内堂に行くことで、生まれかわり立派な人間になろうという修行の場になっていたようです。

暫く余韻に浸りながら、階段を降りていくと、まだやってきたばかりの参拝客とたくさんすれ違いました。こんなに人がいたらあの絶景は独り占めできなかったなーと思いつつ、山門の寺務所にあるお土産を物色し、最後はもう一度本堂で参拝してから、帰路につきました。

山寺は参拝時間になる前でも入れるので、朝早ーい時間に行くのがおススメです。誰にも邪魔されずに心行くまで「山寺の時」を感じることができ、間違いなく心が浄化されますよー。

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written by Daisuke Goto

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