時代を超えて愛されるフエのフックリンケーキ


フックリン(Phục Linh)とは、ヴィエトナムの古都フエ(Huế)の伝統的なケーキです。

『先週、叔母がハノイを訪れた際に、フエの王宮からこのお菓子をいくつか持ってきてくれました。インゲン豆やもち米で作ることもあるようですが、叔母によると、矢車菊という根に独特の香りがあるため、矢車菊粉を使うことが多いそうです。フックリンの名前は昔から知っていますが、今回初めて、四角くて真っ白なフックリンケーキを食べることができました。』

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フエの主婦はフックリンケーキの作り方を心得ており、旧正月や結婚式などの重要な記念日や、祖先を崇拝するための供え物としても作られています。
お茶と一緒に食べると一層美味しく食べられ、お年寄りにも好まれるケーキです。

このケーキはその昔1802年から1945年のグエン王朝の王に捧げる特別なものだったそうです。
しかし、このケーキがいつ生まれたのか、なぜ高貴な名前であるフックリンと呼ばれるようになったのかは分かっていないそうです。

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ヴィエト族の伝統的な文化や様式を取り入れた、フエの皇居のデザインが施されたケーキの数々です。このケーキを焼く工程では、入念な準備と細工が必要です。伝統的なケーキは、黄砂、パンダンの葉、新鮮なココナッツジュースと一緒に、よく挽いたアロールートで作られています。
アロールートはかき混ぜながら焙煎する必要があります。小麦粉の香ばしさと火加減を絶妙にミックスするには熟練の技が必要で、最も美しく繊細な形を作るために、ケーキは青銅の枠でプレスされなければならないそうです。

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ベーカリー店のホアさんは、子供や孫に教えるためにレシピを保存し、フック・リン・ケーキを存続させようとしています。彼女自身は白いケーキを作るのが好きだそうですが、最近は赤、黄、青、茶、紫のカラフルなケーキを作り、需要の増加に対応していると語ります。

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ロサンゼルス出身の在外ベトナム人ドンさんは、フエのケーキがとても恋しいと言います。
「私はよく親戚にケーキを送ってくれるように頼んでいます。祖国や生まれ故郷への親近感が湧いて、忘れることができないのです。」
彼女はこのケーキを食べるたびに、幸せな子供時代を思い出すような微妙な感覚がよみがえるそうです。
「母がマーケットから帰ってくると、子供の頃を思い出すんです。甘くて冷たい、そして少し焦げたような木の香りがするケーキをくれるんです。私はそれがとても好きです。」と語っています。

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出典:Viet Nam News