日本が誇る名湯の魅力

古くから湯治場として親しまれてきた日本の温泉。その数は全国に約27,000カ所とも言われ、世界でも屈指の温泉大国です。今回は、泉質の良さ、アクセス、観光施設の充実度、そして何より「また行きたい」と思わせるおもてなしの心を基準に、現地を何度も訪れた経験を持つライターが厳選した人気温泉地をご紹介します。

1. 草津温泉(群馬県)
2. 箱根温泉(神奈川県)
3. 有馬温泉(兵庫県)
4. 登別温泉(北海道)
5. 白浜温泉(和歌山県)
6. 別府温泉(大分県)
7. 下呂温泉(岐阜県)
8. 道後温泉(愛媛県)
9. 城崎温泉(兵庫県)
10. 鳴子温泉(宮城県)

1. 草津温泉(群馬県)

日本一の湧出量を誇る草津温泉へようこそ。まちの中心に佇む「湯畑」からは、白濁した温泉が立ち上る湯けむりと共に、硫黄の香りが漂ってきます。泉質はpH2.1という強酸性で、美肌効果が特に高いのが特徴です。

草津の醍醐味は、なんといっても「合わせ湯」での入浴体験。源泉100%の熱い湯を、専用の板で撹拌して適温に調整する伝統的な手法は、いまでも湯もみショーとして公開されています。特に夜の「光と音の湯もみショー」は必見です。

街中には18カ所の共同浴場があり、湯めぐりを楽しめます。西の河原露天風呂は、岩造りの大きな露天風呂で、四季折々の自然を眺めながらの入浴が格別です。

2. 箱根温泉(神奈川県)

東京から約90分という好アクセスの箱根温泉は、17種類もの源泉を持つ温泉群です。特に強羅地区の「黒たまご」で有名な大涌谷は、箱根火山の息吹を間近で感じられる観光スポット。

温泉街は、芦ノ湖を見下ろす山腹に広がり、高級旅館から気軽な日帰り温泉施設まで、様々な楽しみ方ができます。特に「天山湯治郷」は、7種類の温泉と開放的な露天風呂があり、富士山の絶景も楽しめます。

箱根登山鉄道やロープウェイ、海賊船など、ユニークな交通手段を使った観光も魅力です。美術館や博物館も多く、温泉と文化芸術を同時に楽しめる贅沢な温泉地です。

3. 有馬温泉(兵庫県)

日本最古の温泉地の一つ、有馬温泉。「金泉」と「銀泉」という、全く異なる2種類の泉質を楽しめるのが特徴です。金泉は鉄分を多く含む茶褐色の湯で、銀泉は無色透明のラドン泉。

情緒豊かな温泉街には、太閤秀吉も愛した「金の湯」や「銀の湯」という外湯があり、地元の人々と同じように温泉文化を体験できます。

温泉街の「ねね橋」周辺には、江戸時代からの老舗旅館が立ち並び、夜には提灯の明かりが温泉情緒を演出。温泉まんじゅうや有馬サイダーなど、地元グルメも見逃せません。

 4. 登別温泉(北海道)

北海道を代表する温泉地、登別。「地獄谷」と呼ばれる源泉地帯からは、迫力ある噴煙が立ち上ります。9種類もの泉質があり、「温泉のデパート」とも呼ばれています。

特に人気の「大湯沼」は、源泉かけ流しの混浴露天風呂。四季折々の景色を眺めながら、北海道の大自然を満喫できます。冬季は雪見風呂として格別の魅力を放ちます。

温泉街では、毎夜「鬼花火」が打ち上げられ、温泉街を妖しく照らす「地獄の谷の鬼花火」は、幻想的な雰囲気を演出しています。

 5. 白浜温泉(和歌山県)

エメラルドブルーの海と白い砂浜に囲まれた白浜温泉は、「日本のリビエラ」とも呼ばれる景勝地です。1300年以上の歴史を誇り、「崎の湯」「白良浜の湯」といった露天風呂からは、太平洋の大パノラマを楽しめます。

名物の「円月島」を望む露天風呂は、夕暮れ時が特におすすめ。オレンジ色に染まる空と海の境界線が、まるで絵画のような美しさです。

温泉街には「とれとれ市場」があり、新鮮な海の幸を味わえます。また、アドベンチャーワールドでは、パンダの親子に会えることでも有名。温泉と観光を両立できる、家族連れに人気の温泉地です。

6. 別府温泉(大分県)

「地獄めぐり」で有名な別府温泉は、実は8つの温泉地区からなる温泉郡。源泉数、湧出量ともに日本一を誇ります。色とりどりの温泉が湧く「血の池地獄」「海地獄」などは、まるで別世界のような光景です。

市街地には無数の温泉が点在し、地元の人々が日常的に利用する共同浴場「市営温泉」は、観光客にも開放されています。特に「竹瓦温泉」は、大正ロマンを感じさせる建築が魅力的。名物の「地獄蒸し料理」は、温泉の蒸気で調理する独特の郷土料理。温泉卵作りも体験でき、B-CONプラザでは定期的に温泉イベントも開催されています

 7. 下呂温泉(岐阜県)

飛騨の小京都と呼ばれる下呂温泉は、アルカリ性単純泉の名湯として知られています。温泉街のシンボル「下呂温泉合掌村」では、飛騨の伝統的な合掌造りの家々を見学できます。

温泉街の中心にある「下呂温泉寺」の足湯は、疲れた足を癒すのに最適。夜には「温泉寺の石段」がライトアップされ、幻想的な雰囲気を演出します。

川沿いに建つ旅館からは、清流の音を聞きながらの湯浴みが楽しめます。また、飛騨牛や朴葉味噌などの郷土料理も、温泉旅の醍醐味です。

8. 道後温泉(愛媛県)

日本最古の温泉の一つとされる道後温泉。その象徴である「道後温泉本館」は、宮崎駿の「千と千尋の神隠し」のモデルとも言われる木造三層楼の建築物です。

「坊ちゃんの間」として知られる特別浴室は、明治時代の面影を今に伝えます。浴衣姿で温泉街を歩けば、そこかしこに文学の香り漂う情緒豊かな街並みが広がっています。

道後商店街には、「坊ちゃん団子」や「道後ビール」など、ご当地グルメが充実。夜には「道後温泉飛鳥乃湯泉」のプロジェクションマッピングも必見です。

9. 城崎温泉(兵庫県)

柳並木と石畳の路地が美しい城崎温泉は、「外湯めぐり」の文化を今に伝える温泉地です。浴衣姿で「そぞろ歩き」をしながら、7つの外湯を巡るのが定番の楽しみ方。

「一の湯」「さとの湯」など、それぞれの外湯には独自の特徴があり、「外湯めぐり手形」を使って全てを制覇するのも楽しみです。冬には蟹料理が絶品で、温泉と蟹を目当てに多くの観光客が訪れます。

円山川沿いの遊歩道は、四季折々の風景が美しく、特に桜の季節は格別。夜には提灯の明かりが温泉街を優しく照らし、ノスタルジックな雰囲気を演出しています。

10. 鳴子温泉(宮城県)

鳴子峡の紅葉で有名な鳴子温泉は、硫黄泉、塩化物泉など5種類の泉質を楽しめる温泉地です。「鳴子温泉神社」の横にある足湯からは、大自然を一望できます。

伝統工芸の「鳴子こけし」の工房が点在し、こけし絵付け体験もできます。「鳴子ダム」周辺の遊歩道は、四季折々の風景が楽しめるトレッキングコースとして人気です。地元の食材を使った郷土料理も魅力で、特に「おくずかけ」は温泉地ならではの名物料理。湯めぐりの合間に、地元の食文化も堪能できます。

温泉地へのアクセス方法

 1. 草津温泉(群馬県)

JR東京駅から:長野新幹線で軽井沢駅まで約1時間→草津温泉バスで約2時間
車利用:関越自動車道→渋川伊香保ICから約1時間30分
東京からの特急バス:約4時間(JRバス関東)

 2. 箱根温泉(神奈川県)

JR東京駅から:小田急ロマンスカーで箱根湯本駅まで約85分
新宿駅から:小田急線特急で約85分
車利用:東名高速道路→御殿場ICから約40分

 3. 有馬温泉(兵庫県)

JR新大阪駅から:直通バスで約40分
神戸三宮駅から:神戸電鉄で有馬温泉駅まで約30分
車利用:中国自動車道→西宮北ICから約30分

 4. 登別温泉(北海道)

新千歳空港から:特急列車で登別駅まで約1時間→バスで約20分
JR札幌駅から:特急列車で登別駅まで約1時間30分
車利用:道央自動車道→登別東ICから約10分

 5. 白浜温泉(和歌山県)

JR新大阪駅から:特急くろしおで紀伊白浜駅まで約2時間30分
南紀白浜空港から:バスで約15分
車利用:阪和自動車道→南紀田辺ICから約40分

 6. 別府温泉(大分県)

JR博多駅から:特急ソニックで別府駅まで約2時間
大分空港から:リムジンバスで約45分
車利用:大分自動車道→別府ICから約10分

 7. 下呂温泉(岐阜県)

JR名古屋駅から:特急ワイドビューひだで約2時間
車利用:中央自動車道→中津川ICから約1時間

 8. 道後温泉(愛媛県)

JR松山駅から:市内電車で約20分
松山空港から:リムジンバスで約40分
車利用:松山自動車道→松山ICから約30分

 9. 城崎温泉(兵庫県)

JR京都駅から:特急きのさきで約2時間30分
JR大阪駅から:特急きのさきで約2時間45分
車利用:北近畿豊岡自動車道→日高神鍋高原ICから約20分

 10. 鳴子温泉(宮城県)

JR仙台駅から:陸羽東線で鳴子温泉駅まで約2時間
車利用:東北自動車道→古川ICから約1時間

各温泉地へは、シーズンや時期によって所要時間が変動する場合があります。また、夜間や早朝は交通手段が限られる場合もありますので、事前に時刻表の確認をおすすめいたします。

各温泉地では、最寄り駅やバス停から温泉街まで、多くの場合無料の送迎バスを運行している宿泊施設もございます。ご予約の際にお問い合わせいただくことをお勧めいたします。

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